#FutureIsAnAttitude

出品アーティスト/
作品ご紹介

CADAN所属ギャラリーが推薦する、
新進気鋭の現代アーティスト10名の作品を展示

大山エンリコイサムEnrico Isamu Oyama

  • FFIGURATI #320, 2020
  • 211.7 x 135.0 x D3.0 cm
  • Acrylic aerosol paint, gesso, canvas and wood panel

本作《FFIGURATI#320》は、2020年に開催された個展「夜光雲」(神奈川県民ホールギャラリー)にて発表されました。 エアロゾル・ライティングのヴィジュアルを再解釈したモチーフ「クイックターン・ストラクチャー」が大画面に配置された大山エンリコイサムの代表的な作品。 色彩の放棄もしくは白黒への還元が、造形とそこに現象する運動をより強調するために選択されています。無彩色であることは、身体の運動から生まれる線を用いつつも、アクションの「痕跡」ではなく、そのつど鑑者の眼に運動が再生される速度の「表象」を構成しようという大山の実践の根幹と、密接に結びついているのです。

PROFILE

1983年、東京都生まれ。エアロゾル・ライティングのヴィジュアルを再解釈したモティーフ「クイックターン・ストラクチャー」を起点にメディアを横断する表現を展開し、現代美術の領域で注目される。2007年に慶應義塾大学環境情報学部卒業、2009年に東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。2011〜12年にアジアン・カルチュラル・カウンシルの招聘でニューヨークに滞在以降、ブルックリンにスタジオを構えて制作。2020年には東京にもスタジオを開設し、二都市で並行して制作を行う。

© Enrico Isamu Oyama, Courtesy of Takuro Someya Contemporary Art
Photo by Shu Nakagawa

大野智史Satoshi Ohno

  • Passion、初恋。
  • Passion, First love., 2015
  • 270.5 x 220.0 cm
  • Oil, acrylic and spray on canvas

大野は自分ならではの表現主義とでもいうような、自然や社会の中に存在する「自我」の内面性を作品に表し、東西の美術史と、絵画的表現の深い分析とともに追求してきました。 デジタル時代を象徴するようなフラットな色面構成によって、表現と感覚を多層化し、さらにアクション性を持つ線や筆致を画面に重ねながら、平面の画面にイメージとしての空間を構築しています。本作《Passion、初恋。》は、自身に起きたこれまで経験したことのない初恋の初々しい感情の昂りを、クラッカーが心の中で弾けたように絵画の中で空間が広がっていくように描いたと作家が述べているように、鮮やかな色彩と筆のストロークが画面の中で躍動しています。

PROFILE

1980年、岐阜県生まれ。2004年に東京造形大学卒業。山梨県富士山麓にアトリエを構え、原生林の中で自らの感覚を研ぎすましながら、自然と人工の対峙と融合、そして時間を探求する絵画制作を行っている。主な個展に「Prism Violet」(ホノルル現代美術館、2007年)、グループ展に「リアル・ジャパネスク 世界の中の日本現代美術」(国立国際美術館、2012年)など。主な収蔵先にビクトリア国立美術館、原美術館、国立国際美術館などがある。

© Satoshi Ohno, Courtesy of Tomio Koyama Gallery
photo by Kenji Takahashi

SHIMURAbros

  • TRACE – ROAD – Wall Street, 2019
  • 122.0 x 85.0 x 7.0 cm
  • Enamel and acrylic paint, pigment, wood, recycled tire, special sight controlled film, iron and acrylic (frame)

映画をはじめとする映像テクノロジーの歴史を周到に参照しながら、映像と彫刻を自由に行き来し、活動の場を広げてきたSHIMURAbros。2009年から制作する〈TRACE〉シリーズは、Googleストリートビュー上に現れる、道路を分断する亀裂などの実世界にはないイメージの歪みをあえて再現し、ミラーやフィルターなどの工学的素材を用いて造形した立体作品です。鑑賞者の視点の移動によって変化するイメージは、鑑賞者へ見るという行為の本質を問いかけます。

PROFILE

ユカ(1976年生まれ)とケンタロウ(1979年生まれ)による姉弟ユニット。 平成21年度文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞受賞。以降、カンヌ及びベルリン国際映画祭での上映をはじめ、国内外の美術館で展示を行い、近年では恵比寿映像祭への出品や、NTU CCA Singaporeのレジデンスプログラム参加など、活動の場を広げている。2017年には『ArtReview Asia』誌の「A Future Greats」に選出。平成26年度ポーラ美術振興財団在外研究助成を得て拠点をベルリンに移し、現在はオラファー・エリアソンのスタジオに研究員として在籍し活動する。

© SHIMURAbros, Courtesy of TOKYO Gallery + BTAP

川人綾Aya Kawato

  • C/U_mm-mmd_(b)_I, 2019
  • 200.0 x 250.0 cm
  • Acrylic on wood panel

川人は幼い頃から神経科学者の父から影響を受けて、脳を通して世界を把握していると意識するようになり、特に錯視効果に興味を持って来ました。学部時代に京都で染織を学んだ後、表現方法を追求し、「制御とズレ(Controlled and Uncontrolled)」をテーマとした現在のグリッドペインティングの手法へとたどりつきます。緻密な手作業による色の塗り重ねによってグリッドを織りなしていく過程で、否応なく生じてしまう歪みや「ズレ」がもたらす人知の及ばない領域の存在。また鑑賞者の目の錯覚によるズレを通して、規則的なグリッドがもたらす有機的な領域と対峙することができるでしょう。

PROFILE

1988年、奈良県生まれ。京都府在住。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現修士課程、博士後期課程修了。幼少より神経科学を身近に意識しながら育ち、染織を学んだ背景を強みに、主にグリッド状のペインティングを制作する。2019年には、ロンシャン ラ メゾン銀座において、壁面全体を使用した大胆なインスタレーションも手がけた。近年の主な個展に「Controlled / Uncontrolled」(Pierre-Yves Caër Gallery、パリ、2019年)、「織(Ori)Scopic」(イムラアートギャラリー、京都、2021年)など。

© Aya Kawato, Courtesy of imura art gallery
photo by Akihito Yoshida

今井俊介Shunsuke Imai

  • untitled, 2018
  • 180.0 x 144.0 cm
  • Acrylic on canvas

今井は、パソコン上で直線のストライプを配置して紙に印刷し、その紙を手で立体的に歪ませてできた曲線の部分を色面へと変換しながら、カンヴァスに写し描くという方法で作品を制作しています。色彩豊かな縞々の曲線が波打つ画面は、多くの人を魅了しています。本作は1枚の布の柄を元に絵画へと展開し、一見抽象画でありながらも、あるモチーフを元に描くという具象的な側面を持ち合わせています。ストライプのうねりや色彩のコントラストによって、平面である絵画に生まれる奥行きや動きを通して、鑑賞者に自分が見ているものは何かを問いかけます。

PROFILE

1978年、福井県生まれ。東京都在住。絵画の基本的要素である形、色、空間への探求を元に作品を制作。作品を通して「観る」ことの根本的な意味を提示する。近年は国内外の美術館の展示に多数参加するとともに、ファッションブランドとのコラボレーションなど、絵画の枠にとらわれず活動の幅を広げている。

© Shunsuke Imai, Courtesy of HAGIWARA PROJECTS

ユアサエボシEbosi Yuasa

  • 調査
  • Research, 2020
  • 162.0 x 227.3 cm
  • Acrylic on canvas

鬱蒼と繁るジャングルの中を、2人の人物が円形のホバークラフトに乗り移動しています。紫がかった肌の2人の人物は同じ姿をしていて、どこか機械仕掛けの人形のようでありながら、現代のコロナ禍でのソーシャルディスタンスの光景を表したようにも見えます。戦前に生まれた架空の画家ユアサヱボシに擬態して描かれる、時空を超えたユーモラスな絵画の世界へと引き込まれるでしょう。

PROFILE

1983年、千葉県生まれ。千葉県在住。2005年に東洋大学経済学部卒業。大学卒業後に就職した金融関係の会社が倒産、その後画家になることを決意し美術学校に進学する。大正生まれの架空の三流画家、ユアサヱボシ(1924〜1987年)に擬態し、当時のシュルレアリスムの雰囲気をたたえた作品を制作。この架空の作家の人生を巧妙に組み立て、そこに作品を当てはめていく創作を行う。主な展覧会に、「still life 静物」(ギャラリー小柳、2021年)などがある。主な受賞に2018年第10回絹谷幸二賞など。

© Ebosi Yuasa, Courtesy of Gallery Koyanagi

前田紗希Saki Maeda

  • 21_7, 2021
  • 227.3 x 181.8 cm
  • Oil on canvas

決して交わることはなく共存している、無数に在る価値の基準、相対性、境界。前田は日常で感じ取る存在を、刻一刻と変化し揺れ動く幾何学として可視化しています。カンヴァスにマスキングテープのみで「境界」を作り上げ、納得したところで初めてペインティングナイフと油絵の具を手に取り、何層ものトライアングルを描き続けます。「隣り合うものによって変化する答え」は初めから無いものとするかのように、万物の関係性とその根本を模索しています。そこに色彩調和論や抽象表現の偉人たちの引用は不要で、まるで寺院の庭を目の前に宇宙に想いを馳せるような純粋な思索へと誘われます。

PROFILE

1993年福井県生まれ。2015年京都芸術大学美術工芸学科油画コース卒業。個展に2017年「DUAL BLUE」(GALLERY TOMO ITALY, MAG/イタリア)、2021年「convergence-boundary」(Artist-in-Residence賀茂なす/京都)等。日常の中で感じ取る物事の相対性や対比を、ペインティングナイフのみを利用して、トライアングルのフォルムに表現する。

© Saki Maeda, Courtesy of MISA SHIN GALLERY
photo by Saki Maebata

小林優平Yuhei Kobayashi

  • Butt, 2021
  • C-print, acrylic plate, wood and negative film
  • 150.0 x 114.0 cm

小林は写真や版画などの印刷メディアをメインに使用し、日本独自の文脈における写真芸術の歴史についてを、漫画やヤンキー文化、ヒッピー文化と雑誌文化などのロウカルチャーの引用を交えながら表現しています。かつて絵画の役割を奪ったはずの写真機という発明における「全てを等価値に映してしまう」という機能を純粋に用いた作品を制作し、高度にイメージ化した現代の中での写真作品の固有性を追求しています。写真作品では、古本の卸売市場に溢れたゴミに等しい古雑誌や書籍を切り抜いた紙片を、写真機の裏蓋の中に詰め込み、重ね、ネガフィルムに押し当たままシャッターを切ることで現像し、イメージには紙片が重ねられたことで生じた僅かな空間が映し出されています。額のガラス面とプリントの隙間に恣意的にゴミを挟んだり、額装の裏面に封筒に入れたネガが貼り付けることで、本来エディションとして扱われる写真作品をユニークピースへと仕上げています。

PROFILE

1990年生まれ。東京都在住。写真や版画などの印刷メディアをメインに使用し、日本独自の文脈における写真芸術の歴史について、ロウカルチャーの引用を交えながら表現している。主な展覧会に「Lavender Opener Chair」(2021年)、「Mumei」(2020年)、「NADA Miami 2018」などがある。

© Yuhei Kobayashi, Courtesy of 4649

藤崎了一Ryoichi Fujisaki

  • metaball_Thoang, 2020
  • video
  • 08' 36"

〈metaball〉 は、アーティストの身の回りにある様々な液体が物理的に干渉し合う様子を、映像でマクロ撮影したシリーズ。タイトルに冠されている「メタボール」は、複数のオブジェクト同士が接近し融合し、1つのオブジェクトとなる過程を描くn次元の有機的なオブジェクトを表すコンピュータグラフィックス用語です。タイトルが示すとおり、身近な素材である液体同士が接近や融合を繰り返す様相は、有機的なうごめきにも感じられます。

PROFILE

1975年、大阪府生まれ。京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。素材への深い知識と好奇心に自身の「身体性」と素材のもたらす「現象」という要素を掛け合わせることで、既知の素材を一気に飛躍させた表現へと昇華させる作品を発表。立体・写真・映像など、幅広いメディウムを用いて展開。 2020年にEmerging Photographer of the Year Awardファイナリスト受賞(英国)、sanwacompany Art Award / Art in The Houseファイナリスト受賞など、国内外で注目を集める。

© Ryoichi Fujisaki, Courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

二艘木洋行Hiroyuki Nisougi

  • Signed Poster, 2016
  • Oil and inkjet print on canvas
  • 192.0 x 108.0 cm

2016年にTALION GALLERYで行われた二艘木洋行の個展「大ポスター」展で発表された作品。お絵描き掲示板で描いたデジタルイメージを複層的に再構成してカンヴァスに出力し、画面いっぱいに作家自身の名前を油彩を含ませた筆で描いています。〈サイン入りポスター〉シリーズの大作で、ペインツールの描画プロセスで発生するピクセルのジャギーといったビットマップ画像特有の感触と、絵の具の滴れ、かすれのような物質的質感があからさまに折り重なっています。図と地、絵と言葉、デジタルとアナログといった区別も易々と周縁化し、触覚的な描画のプロセスに没入してその運動を加速させながら、ときにリテラルでいたずらじみた意図のもとにひとつの平面作品へと収斂させていく、二艘木特有のアプローチが本作には端的に表れています。

PROFILE

1983年、山口県生まれ。神奈川県在住。中解像度(1辺が500〜1000ピクセル程度)のペイントツールとペンや油彩、スプレーなどの画材を探索的に駆使することで、ひとつの平面上に新たな視覚的クオリティーを描き出す。イメージを構成する描線や筆触などの一つ一つの要素に対して、デジタルの描画プロセスに人為的なエラーや偶然性を呼び込み、あるいは逆に油彩の描写にデジタルネイティブの手技を代入することで、平面の内部にコンポジションの構成と綻びが複層的に現れる。

© Hiroyuki Nisougi, Courtesy TALION GALLERY